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  遺伝と遺伝性疾患の基礎知識  
     
  遺伝についての基本知識について整理しておきます。  
  1.ゲノムとは?  
  最近、ゲノムと言う言葉をよく聞く機会が増えましたが、ゲノムの日本語訳というのは適当なものがありません。ではゲノムとは何かというと遺伝物質の総称で、情報が蓄えられているところと考えてください。
遺伝情報はDNA(デオキシリボ核酸)が担っており、A(アデニン)・T(チミン)・C(シトシン)・G(グアニン)のたった4種類の塩基から構成されています。この4種類の羅列が暗号化されており、この暗号の情報を元にタンパク質を作り出します。
 
  2.遺伝子とは  
  生物の体は、さまざまなタンパク質(体を作っていたり、ホルモンであったり、抗体であり、酵素であり・・・・)によって恒常性が維持されています。そのタンパク質を作る情報が遺伝子であり、ゲノム上に存在しています。
この遺伝子には、いつ(When)、どこで(Where)、どれくらいの(How much)、どのような(What)タンパク質を作るかが情報として書き込まれています。人の場合はゲノム計画により、4万種類くらいの遺伝子が存在することがわかっており(10万個という説もあります)、少なくとも4万種類のタンパク質が作りだす機能が備わっていると考えられます。
では、このタンパク質を作りだす設計図の遺伝子が、何らかの影響で破壊されてしまったらどうなるでしょうか?例えば、紫外線の影響で文字が書き換えられたり、親が高齢のため精子や卵の染色体分裂に異常をきたしたりすると、本来、正しく合成(翻訳といいます)されなければいけないはずのタンパク質が合成されないということが起こってきます。それが、大なり小なり生活に影響を与えることとなるのが遺伝疾患です。
 
  3.遺伝疾患の分類  
  遺伝疾患は次の5つに分類されるのが一般的です。

@ 単一遺伝子疾患(メンデル遺伝病)
A 染色体異常
B 多因子遺伝病
C ミトコンドリア遺伝病
D 体細胞遺伝病


ここでは、 @ の単一遺伝子疾患について少し解説をしたいと思います。これはメンデル遺伝病とも呼ばれ、メンデルの法則で有名なメンデルの名前をとったものです。2で記述したように多くの遺伝子が見つかってますが、その中のたった1つの遺伝子の異常により発症します。このタイプの遺伝病には、常染色体優勢・常染色体劣勢・X染色体連鎖性の3つに分けることができます。

子どもは両親から1個ずつ遺伝子をもらいます。正常な遺伝子をA、病気の遺伝子をaとすると、健康なイヌの遺伝子をAAとしたときにAaで病気になってしまうのが、優勢遺伝病です。
これに対して劣勢遺伝病はAaでは病気にはならず、保因者(キャリア)になり、aaで初めて病気になります。この劣勢遺伝病の犬を繁殖に使う場合は特に注意が必要です。キャリアの犬は見た目は健康なため、繁殖に使われることがあります。しかし、下の図を見てもらったらわかるように、キャリアの犬は相手によって、仔犬が疾患を持っていまれてくる危険があります。
もし、あなたの飼っている犬がある疾患に対してキャリアだとしましょう。その犬の質が高く、どうしても子どもを残したいと考えられるなら、相手の犬には必ず遺伝子的に健常な犬を探してください。それでも確率的には半分の仔犬がキャリアとして産まれてしまいます。そうなると、あなたの繁殖した犬の子孫が疾患をもつ仔犬を生み出してしまうかもしれません・・・。
 
 
 

父犬が健常な場合
(遺伝子のタイプ=AA)

父親がキャリアの場合
(遺伝子のタイプ=Aa)

父親が疾患を持つ場合
(遺伝子のタイプ=aa)

母親が健常な場合
(遺伝子のタイプ=AA)

100%健常

50%健常
50%キャリア

100%キャリア

母親がキャリアの場合
(遺伝子のタイプ=Aa)

50%健常
50%キャリア

25%健常
50%キャリア
25%疾患

50%キャリア
50%疾患

母親が疾患を持つ場合
(遺伝子のタイプaa)

100%キャリア

50%キャリア
50%疾患

100%疾患

 
  動物はDNAを後世に残していきますが、すでに解明されている遺伝疾患は計画的な繁殖でストップをかけることができます。我々が遺伝疾患にたいして、常に意識し病気を食い止めていきましょう。  
     
     
 

コーギに多くみられる遺伝疾患について整理しています。
まだ未完成な部分が多いので今後、内容を随時更新していきたいと思います。

 
 

遺伝疾患

Hip Dysplasia (股関節形成不全)

特徴

ゴールデンやシェパードのような大型犬で多い遺伝疾患ですが、コーギにも多くみられます。
症状としては・腰を振って歩く・走るのを嫌がる・ジャンプしなくなる・階段を上りたがらない・座ったときに足を横にそろえて座る。などの症状が見られます。
遺伝的要因と環境要因が重なりあって発症する多因子遺伝病と考えられ、原因遺伝子の特定まではいっていません。
OFAやJAHDで検査を受けることができますが、遺伝子を特定する検査ではなく、レントゲン写真から本犬の股関節の健全具合を見るといった検査になります。

検査機関

OFA
JAHD

 
     
 

遺伝疾患

Progressive Retinal Atrophy  (進行性網膜萎縮症)

特徴

DM と共にコーギにもっとも多い遺伝疾患で、常染色体劣性遺伝をします。
初期症状では物にぶつかったりしますが、しだいに網膜が萎縮し、末期症状では失明してしまいます。
コーギの場合は、生後12週間くらいで症状が見られ、1〜2年で失明に至ってしまう早期発病・進行型です。

現在、ペンブロークでの検査は検眼鏡などで診断する方法がとられていますが、カーディガンにおいては、PRAにおける研究が進んでおり、原因遺伝子がわかっています。PDEA6Eというタンパク質をコードしている遺伝子の616番目の塩基に変異が入っているために、正しくタンパク質が作られずに、 rcd3 という変異型のタンパク質を作ってしまいます。これがPRAの原因と考えられています。カーディガンにおいては、このように原因遺伝子がわかっていますので、現在は遺伝子検査が行われています。ペンブロークもカーディガンと遺伝子の差はあまりないと思われますので、近い将来に遺伝子検査が行われるようになるでしょう。

検査機関

参考サイト(カーディガンを含む何犬種かのPRAの検査を行ってくれますが、ペンブロークはまだです)
OptiGen

 
     
 

遺伝疾患

Von Willebrand`s Diease (フォンウィルブランド病)

特徴

フォンウィルブランド病( vWD )は、遺伝性の出血性疾患です。この病気はヒトにおいてもよく発症する遺伝性の疾患です。

イヌにおける vWD は 1977 年、ドーベルマンで最初に報告され、多くの犬種で発症することが確認されています。特記すべきは、ドーベルマンにおいては、7割以上がこの病気の遺伝子を持つとという非常にイヌの世界に根付いている病気です。
この病気は、血液が固まる時に必要となる フォンウィルブランド因子( vWF )と呼ばれる血漿タンパクが不足するために出血しやすく、かつ、止血しにくいという危険なものです。そのため手術後に出血がなかなか止まらずに命を落としてしまうということもあるようです。

症状として、粘膜部の出血(歯茎、鼻)、皮下出血(出血性のアザ)、胃腸管出血(血便)、血尿、通常より長い発情出血、怪我や切開手術などの際の異常出血、血腫、関節からの出血による運動障害といったものがみとめられています。もし、あなたの飼われているコーギが怪我をしたときになかなか血が止まらない。。という症状が見られたらまずこの病気をうたがってみてください。

フォンウィルブランド病( vWD )はType1〜3の種類があり、コーギはType1属します。このType1は常染色体優勢遺伝をします。つまりキャリアでも病気を発症します(程度は異なりますが)。

この疾患は遺伝子検査が行うことができますので、ぜひ検査を受けてください。 

また検査を事前に受けこの疾患を持つことがわかれば、手術のときに輸血の準備ができ、もしものときに命を救うことができます。積極的に検査を受けましょう。

検査機関

VetGen

 
     
   遺伝性疾患と検査についてはコチラをご覧ください  
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